「それはすべての時世の中で最もよい時世でもあれば、すべての時世の中で最も悪い時世でもあった。」ーーーーディケンズ チャールズ「二都物語」
「100年一度」と言われていた昨年の混乱から、少なくとも投資の世界ではすっかり回復しているように見える。米株は年初来60%の上昇幅となり、新興国全体は100%近いパフォーマンスを達していた。ドルは下げ続け、ユーロ、豪ドルは昨年の高値をトライしようとしていた。
先週から様子がすこし変わった。株式の調整と共に、ドル全体もやや反発している。当然のように、市場関係者らの見通しが分かれている(こような状況は正常であるが)。が、楽観派はもちろん「次なるバブル」の到来に迎えようと叫ぶが、例え悲観派でも昨年のリーマンショックを「100年一度」と片付け、せいぜい「二番底」の有無を論じるぐらいの程度だ。
しかし、くるべき波の規模はわれわれの想像をはるかに越えるだろう。それはわれわれが生きている間一回しか経験できないほどの嵐かもしれない。しかも、その分岐点となる来年では、昨年の波乱を「前菜」と片付けるほどの「メインディッシュ」な味を投資家に堪能させるに違いない。「100年一度」の真意を理解するにはこれからだ。
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昨日、米第三四半期GDP数字の好調によりダウ指数が反転してきたが、戻りには限界があるだろう。
テクニカルの話を除いても、リバウンドを利用して手仕舞いしたいと思う節がある。なにしろ、量的緩和と大規模な財政出動など「興奮剤」を投下したので、GDPの改善は当然と言えば当然だ。
だが、米経済のカギを握る失業率が改善されない限り、これ以上の景気改善は期待できない。しかも、現在の株価は楽観論をかなり織り込んでいたように見える。
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ダウ指数は昨日一段安となり、トリプル・トップのパターン通りに下値ターゲットをトライしようとしている。
また、DAX指数の値動きに追随するようにも見えるため、取引しやすい局面でもあった。
ちなみに、ゴールドマン・サックスによる米GDP予測の下方修正が相場を一段押し下げた材料として解釈されているが、本質的には相場は調整に入っているので、このような材料が出易く、また、相場が敏感に反応し始めたに過ぎないと思う。
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当方が好んで取引している銘柄のひとつはDAX指数だ。銘柄数が少なく、シンプルの故に、取引しやすいからだ。
最近の調整相場では、まるで教科書のように、きれいなパターンを形成し、かつその後のターゲットも素直に達成されている。ビールを飲みながらトレードできるほどの「やさしい」相場だ。
ちなみに、最近DAXの値動きがそのまま後のダウ指数に影響を与えるように見えるので、重宝しているもう一つの理由でもある。
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ダウの高値更新が容易ではないと重ねて指摘してきたが、目先その蓋然性が一段と大きくなっている。
上の時間足では、トリブル・トップといったパターンが昨日の下落によって成立された公算が高く、しばらく下値探る展開となろう。
半面、日足における値動きの構造がなお調整の領域に留まり、パターンが示すターゲットには一直線に付けない可能性もある。慎重なフォローを継続したい。