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ユーロは史上最高値を更新、当方が昨年12月
既存ストラテジーを継続 にて出した1.5200とのターゲットに近づいている。
実際、2月に入ってから、ユーロトップアウト、ドル底入りといった論説が絶えなかった。主にファンダメンタルズ的な説明であったが、市場の注意点はユーロ圏利下げへの懸念に集中していた。
2月5日、6日および7日あたりでは、「米ドル人気回復、経済指標がユーロを打撃」という報道が各サイドにあふれていた。世界トップ銀行のアナリストらは揃ってドルの底打ちを予想した。理由は主にユーロ圏1月サービス業PMIが4年半以来の安値を更新したことを挙げられ、昨年12月のリテールセールスデータの低下も相俟って、ユーロ圏利下げの懸念でユーロ下落との結論が出されたようだ。
その後、ECB総裁の記者会見もあり、多くの評論家は彼の発言に関して、「明らかにユーロ売りのサインを出した」と読み取り、ECBが鷹派スタンスが崩れたとの解釈に市場が傾いた。ユーロも7日において1.4439まで売られた。
この様なコメントを出した銀行にはCommerz Bank 、Bank of New York Mellon、Deutsche Bank 、Citigroup、BNP Paribas,Calyon、UBS、Bank of America、Royal Bnak of Scotland などトップクラスのバンクが名を並べていた。
が、上のチャートが示したように、ユーロは下落ではなく上昇した。誰が何と言おうと関係なく、相場は相場に聞くべきで、少しテクニカルの知識があれば、当方が見通しを修正しなかった理由には納得するはずであった。
つまり、世界トップクラスの銀行の高名なアナリストらが揃ってユーロ安に傾いたにも関わらず、ユーロは1月22日安値の1.4364を下回れなかったことを重視すれば、明らかに昨年高値から形成された「アセンディンパターン」の最終完成に繋がっているもの。相場の過去を振り返れば、歴史的なトップ形成はほとんど「V字型」か「ダブル・トップ」型のパターンが多く、「アセンディンパターン」はどちらかというとトレンドの途中でよく見られるフォーメーションである。よって、ユーロは高値更新の蓋然性が高く、ユーロ買いスタンスを堅持したわけだ。
ちなみに、その後のユーロ圏から弱い経済指標が続出したが、ユーロ高に打撃を与えなかった。また、ECBのスタンスに関する解釈もごろごろ変わり、足元では「依然鷹派か」との観測が強い。もちろん、米国の問題が深刻化を増していることも一因だが、基本的には、米利下げ継続に関する懸念が根深いことを示している。
このように、ファンダメンタルズが相場へ与える影響及びレートの決定メカニズムは複雑で、これらに関する解釈やセンチメントもごろごろ変るもの。評論家ではなく、トレーダーなら、決してファンダメンタルズの理由のみでポジションを建てるべきではない。大事なのは、ファンダメンタルズや市場の解釈、及び市場心理に照らし、テクニカルのルールに沿って対応することである。
実際、テクニカルの基準と市場心理及び市場のファンダメンタルズに対する解釈が相違すればするほど大きな取引チャンスとなる。なぜなら、自分が少数派に属しており、多数派の敗北によって莫大な利益を手に入れるからだ。
余談となるが、前記大手銀行の多くは本日ユーロ高に傾くレポートを多数だしている。
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昨日NY原油先物相場(期近、三月物)は再び1バレル100ドル台に乗せた。まさに天井知らずの展開。
上のチャートは同原油先物の日足である。このチャートを眺めて、ある通貨ペアの値動きに似ていると思わないか。
ほんの少し前、フォーメーション上の「ダブルトップ」を理由に、原油のトップアウト論を展開したテクニカルアナリストが多かっただけに、ショートポジションを手掛けるトレーダーも多かったようだ。本質的には、原油の高値更新は新規買いオーダーによるものではなく、ショート筋の買い戻しが齎した結果と推測される。
もちろん、所謂ファンダメンタルズ的な解釈は通じない。景気後退局面におり、かつ供給量も十分の目下では、原油高は理にかなわない現象だ。後解釈として、マスコミと一部評論家の決まり文句は「投機資金の流入による波乱」である。
だが、事実としては為替相場も含め、ゼロサムゲームに参加しているのはいつも投機筋であり、このような解釈は笑止千万だ。
前の記事で「天井と底はその時が過ぎてから初めて分かるもの」と強調していたが、この意味でもまさに「天井知らず」である。
投資、投機の世界は奥深い。世界最初の先物市場を開設した国であっただけに、日本の先輩達は数多くの知恵に富む格言を残してくれた。「まだはもうなり、もうはまだなり」はその一つである。
先の記事では、「先に走るな」と戒めの気持ちを込めて慎重の姿勢を強調していたが、慎重し過ぎて「もうなり」のリスクもある。反面、思惑先行で「まだなり」といったリスクに晒されることも。
相場是人生。リスクなしではありえないし、リスクを取ったからこそリターン(出世)がある。ならば、決断した上で行動に移すべきだ。
では、目下のドルインデックスにおけるドル高とドル安シナリオのどちらを取るかに悩むなら、ドル安を取るのが当方の決断だ。
なぜなら、前回の記事の通り、1月22日高値を更新しない限り、ドルのベアトレンドを修正できずにいる蓋然性が大きく、底を打ったという判断はなおリスキーである。言い換えれば、目下こそ「もうはまだなり」とのリスクを強調すべきであり、「まだはもうなり」の可能性が全くないとは言えないものの、基本的には「先走り型」の考え方である。
天井と底はその時が過ぎてから初めて分かるものである以上、トレンドに沿ったシナリオのほうが無難、というロジックは確かに「つまらない」かもしれないが、確率の視点では優位性を持つ。だから、目下「もうはまだなり」の公算が大きい。
ちなみに、「休むも相場」との格言のように、様子見も立派なストラテジーになる。
中国では、「貨幣戦争」というタイトルの本がベストセラーになっている。内容は所謂ユダヤ世界支配論であり、ロスチャイルド家など銀行家連盟の陰謀を暴露するもの。
この論説自身に関してここではタッチしないが、二点ほどの関連事実を強調しておきたい。一つはFRBとBOE、即ち米英の中央銀行は公的機関ではなく、私有銀行である。もう一つはドルは何の裏付けもない単なる「紙幣」である。
「通貨戦争」の意味では、目下のユーロ高も「陰謀」であり、この前フランス銀行のトレーダーの不正及びその後の世界株暴落やFRBの大幅利下げもそんなに単純なものではなかったはずだ。
また、ドルという通貨の本質を知っていれば、「円安原理主義者」も自然に減っていくと思うし、日本人はもっと円に対する愛着が増えるかもしれない。
詳しくは以下のサイトをご覧ください。
http://www.anti-rothschild.net 誤解させないように言っておきたいが、私は反ユダヤ主義者ではないし、陰謀論のすべてを信じているわけでもない。
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ドル反発、やや堅調な動きを見せている。ECBとBOEの金利決定やG7会議を経過した目下では、煮詰まりつつある保ち合い相場からの脱出が期待され、ドルの上放れを必然視する見方も増えている。特に欧米のアナリストらはユーロ/ドルに対する弱気を急速に広げている。
当方はドルに対する弱気を依然維持するものの、相場を無視するまで意地を張るといった愚かな者ではないので、当然ドルのリバウンドがより本格的になるというシナリオも念頭に置く。しかし、シナリオと取引は別なもので、相場より自分のシナリオを優先させるべきではないことも肝に銘じるへきだ。
上のチャートはドルインデックスの日足であるが、大した方向感を示せず、依然保ち合い局面にいることを語っている。当方の弱気を修正する客観的な条件として、何としても1月22日の高値(A)を終値で上回ることが先決だと認識している。言い換えれば、そうでなければ、ドルに対する強気があくまで予測に過ぎず、現実ではないということだ。
要するに、確実に利益を上げ、かつリスクを抑えたいなら、相場より先に走らないことである。相場が明確な方向を示してくれてから仕掛けても全然遅くない、とベテランのトレーダーらは心得ている。曖昧な状況において大胆にポジションを建てたのに、大相場が来た時、逆に躊躇し追撃できずにいるのはよく見られる失敗したトレーダーの行動パターンの一つである。
この原則を踏まえれば、仮にドルインデックスが再び終値で77.34(1月22日の高値)を上回れば、ユーロ/ドルは昨年末においてすでにトップアウトした蓋然性が大きく、とりあえず1.3850まで下落する公算大であるが、そうでなければ、再び1.5000心理大台を打診し、1.5200といった従来の目標を達成する可能性が大きい。アナリストなら一方的な予測をしても実害がないが、トレーダーであれば、柔軟性と対応力が要求されるのが目下の相場だ。詰まることろ、所謂相場感こそリスクが付き纏うものと強調される時期でもある。